高松高等裁判所 昭和31年(う)364号 判決
よつて所論の事実につき原判決挙示の証拠を検討すると被告人は安宅龍治外一名と共謀の上窃盗を企て、原判示日時、原判示若柳国松方屋内に侵入し、店舗内において同人所有の軍手六双等所論の物品を窃取し、なお引続き金品を物色中、物音に目覚めて同所に出て来た若柳国松の内縁の妻河北幸子(当時四二歳)に誰何せられるや同女に対し、夫々所携の庖丁を突きつけ「金を出せ」と脅迫し、その反抗を抑圧して更にその場で同女から現金二千円を強取した事実を肯認できる。ところで犯人が窃盗を企て、まず財物を窃取し、なお引続き金品物色中家人に発見せられた為これに暴行脅迫を加え、その反抗を抑圧して更に金員を強取したときはその前後の奪取行為を合して強盗の一罪を構成するものと解するを相当とする。従つて原審が所論認定の事実を強盗の一罪として原判決の通り判示し、これに刑法第二三六条第一項、第六〇条を適用したのは正当であり、何等事実誤認乃至法律の適用を誤つた違法はない。所論は独自の見解であつて採用できない。
(裁判長判事 三野盛一 判事 谷弓雄 判事 合田得太郎)